fab!
"Well, I don't know how
But you're a big boy now
Come on and take a bow
Cause you're a big boy now"
by John Sebastian
Powered by Tumblr
Theme: White Space by Heather Rivers
前日まで居座っていた低気圧の影響か、アルバカーキの空港に近づくとあちこちに分厚い雲の塊が見えてきたが、飛行機はそれを上手に避けるように旋回しながら高度を下げた。手荷物を受け取って建物の外に出る。大きな積乱雲が向こうに見えていて、その下が地上まで灰色に煙っていた。きっと雨が降っているのだろう。なのに、いま自分が立っている場所はきれいに晴れている。視野を遮るものが見当たらないので、空がとりとめもなく続いていくという感じだ。雲の形が面白い。空が広いからどんな巨大な雲も全体像が見えるのだ。いま眺めたばかりの雨を降らせている積乱雲は、距離にしたら東京から小田原あたりを見渡しているくらい彼方にあるのかもしれないと思った。どうやらニューメキシコでは、空という言葉で思い浮かべるスケールを、切り替えなくてはならないようだ。
翌日、タオスのプエブロを訪ねた帰り道、前方に真っ黒い雲が低く山の上に垂れ込めていた。とはいえ、それは行く手の左半分で起きていることで、右半分、つまり西の空は真っ青なのである。車は100マイルのスピードで南下し、どんどん雲に近づいていく。フロントガラスに雨粒が当たりはじめた。しかし、道はちょうど黒い雲と青い空の境目にあるから、それ以上に強くはならない。やがて前方にうっすらと虹がかかった。虹はゆっくりと濃くなって、七色の絵の具で描いたようにすべての色がくっきりとしてくる。ダブル・レインボウだと声をあげて、運転する友人が左を指差す。できれば彼女にはずっと前を見ていてほしいのだけれど、言われるまま目をやると、大きな虹の下に別の虹がかかっている。右手を振り返る。夕日が美しい。山道を下り切ると青空だった。しばらく進むと、デイリークイーンの看板が見えてきた。古いロゴの横に雲みたいなソフトクリームがついている。寄らずにはいられなくなる、蠱惑的なサインだ。